2009年8月14日金曜日

平板な演奏


「人を魅了する演奏」 (紙谷一衞 著 ) のなかに日本人が平板な演奏をしてしまうのは、日本語の特徴が大きく影響しているといった内容のことを書いていた。

ヨーロッパの言語は単語にアクセントがあり、単語が連なって文になったとき強弱や抑揚がある。
一方日本語は、単語なり文に強弱や抑揚が乏しく、のっぺりとしたものになっている。
これはいい悪いではなく、そういう特性があるということだ。

それが西洋音楽(クラシックに限らない)の演奏をするときに、無意識のうちに反映されている。

筆者によると、日本語それぞれの音同価値に扱っている。

これが、日本語を母語としている日本人は、『楽譜を読む時にどの音符も同等に読むことにつながっていきます』 (P120)
そうやって演奏されたものが平板なものになってしまう。筆者はさらに言う、

これが西洋音楽では誤りなのです。同じ音符が並んでいても、それぞれ強弱や音色が異なるのですが、楽譜にそれらしい記載がありません。』 (P120)

これは僕が今後意識していかなければならないことだと思う。(常に意識していけるかどうか、かなり不安だが・・・)


今日の記事を書こうと思ったのは、久しぶりのお経を聞いたから。お盆は棚行や施餓鬼でお経を聞く。
お経はほとんどが1拍1音(たまに1拍2音がある)で、強弱なく抑揚もなく続いていく。木魚も同じリズムで強弱なく続いていく。

ここから「平板な演奏」ということに連想が広がりました。

もしお経が強弱がついて、抑揚があり、リズミカルだったら・・・、違和感だらけで、もう大変なことになってしまう(笑)

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4 件のコメント:

  1. こんにちは。言語と演奏スタイルの関係は面白いですね。

    日本語は子音に母音が必ずついているので、抑揚やアクセントがつけにくいように思います。たしか韓国語も同じだったような。そのため、語調が重くて、色調も暗く感じる言語ですね。

    欧州系の言語は子音の後に母音がつかないことも多いので、アクセントと抑揚でメリハリをつけないと、発音も聴き取りもしにくく、意味がわかりにくいのではないかと思います。

    中国語とベトナム語は語学講座に通って少し勉強しましたが、中国語やベトナム語も子音に母音がつくとは限りませんし、数種類の声調(音の高低)があります。そのため、雰囲気的には明るく軽快で、とても音楽的に聴こえる言語だと思います。
    ということは、この声調のある言葉のおかげで、中国・ベトナムの音楽家の演奏はメリハリのついた表現になりやすいのかも?

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  2. 言語と演奏スタイル。
    とても面白かったです。

    そうですよね。
    ヨーロッパに行くと、ほんとに読み取るのに
    苦労します。

    だから、表情もそうなんでしょうね。
    外国人て、なんでこんなに表情豊かなんだろうと、
    テレビ見てて、よく思いますよ。

    クライバーの記事にコメントありがとうございました。
    クライバーの指揮も、ほんとに見惚れて
    しまいますね。

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  3. yoshimiさん、こんにちは。

    筆者の紙谷さんは齋藤秀雄の弟子ですが、指揮者にならず東芝EMIに入社しレコード製作畑を歩き、今は指揮者をしたり、音楽教育に携わっておられます。

    日本人が(全員ではないと思いますが)平板な演奏をしてしまうのはなぜかと、常に問い続けて見つけ出された答えの一つが言語との関係です。

    yoshimiさんの書いておられるように、子音と母音の組み合わせによる違いが、言語の特性の違いになっているといったことも書いてありました。

    韓国語と中国語の特徴は、言われてみればたしかにそうですね。今まで気づきませんでした。
    ベトナム語は全く知りません。
    むかし流行った「へー」を連発したくなります。

    >中国・ベトナムの音楽家の演奏はメリハリのついた表現になりやすいのかも?<
    そうかもしれませんね。

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  4. 四季歩さん、こんにちは。

    僕は「人を魅了する演奏」を読むまで、言語と演奏スタイルが関係するとは思ってもみませんでした。
    本書ではこれを例証するのに、詩や楽譜を具体的に取り上げられていて、読んでいくとこれは間違いのないことだと思いました。

    表情の豊かさも言語と関係あるかもしれませんね。

    クライバーは僕にとってはお手本です。
    一応社会人吹奏楽団の指揮者をしていますが、クライバーのように振ってみたいと思うことがあります。

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