2009年6月15日月曜日
長尾景虎
NHK大河ドラマの「天地人」の原作者は、著書のタイトルを海音寺潮五郎の「天と地と」を意識してつけたのだろうか
「天地人」は直江兼続(上杉景勝の家来)を主人公にしている
「天と地と」は上杉謙信を主人公にした小説。景勝は謙信の養子だ。
上杉謙信が上杉氏の名跡を継ぐ前は、長尾景虎であった。
「天と地と」は景虎出生時の長尾為景(謙信の父)の苦悩から始まる生まれ出てくる子をわが子でないのではないかと疑い、この疑惑を誰に言うわけでもなく、一人で抱えている。そうなると当然子供(幼名は虎千代)に対して愛情がわかない。それが憎悪のようなものに変わり、時とともに増してくる。
これは史実に基づいたものか、作者のフィクションかは知らない。父から疎まれたことは事実のようだ。
「天と地と」は文庫本で3冊。そのうち2冊半ぐらいの分量が、虎千代と長尾景虎時代になっている。執筆の依頼に、時代と人物はまかせるが、人間の成長の過程を書いてほしいとあったからそうなったのであろう。
少年時代から家督を継ぐまでは史料は少ないと思うが、その分筆者の想像力を自由に駆使しているのだろう。かなりおもしろい。
読んでいて感じたことがいろいろあるので、何か書けるようだったら書こうと思う。
登録:
コメントの投稿 (Atom)
2 件のコメント:
こんにちは。「天と地と」はおっしゃる通り、幼年~青年期がとても面白いですね。
虎千代/景虎の年齢に似合わない賢さに、宇佐美定行や勇猛な家来衆が一々感嘆してすっかり心服しているエピソードがたくさんあって、微笑ましいところです。
戦国時代の単純というか素朴な人間の機微を書いているところが、ややレトロな文体と相まって、独特の味があって、気に入ってます。
海音寺潮五郎の文章は、どちらかというと、山岡宗八や吉川英治と違って情緒的ではなく、客観的に記述するタイプなので、今の時代でも読みやすい方かもしれません。
yoshimiさん、こんにちは。
先日の記事『春日山』にコメントをいただいたおり、『天と地と』にふれられていました。「そうそう、そういう小説があったな、映画化もされていたな」と思い出し、数日後書店に行き上巻だけ購入しました。
そして読み始めると面白く、すぐ中・下巻も買いました。
書くことよりも史料を読むことが大好きな海音寺潮五郎ですから、いろんな史料を読み、虎千代~景虎という人間に肉迫していったんだと思います。様々な場面における内面の描写がよかったです。
景虎は天才なんだなとこの小説を読んで初めて思いました。物事を見通す目とそこから出てくる言動は、年齢のことを考えれば、天才と言わないと納得できない気がします。
こうして『天と地と』を読んだわけですが、yoshimiさんに紹介していただかなければ決して読むことがなかったと思います。感謝しています。
山岡宗八は読んだことがありません。吉川英治は二十代の頃よく読みました。『上杉謙信』も読んだはずです。
コメントを投稿