チャイコフスキー/交響曲第5番ホ短調 作品64
作曲は1988年(作曲者48歳の時)、スコア(全音楽譜出版社)の解説(園部四郎)によると(多少文章表現を変えて引用します)
5番の交響曲の内容を考えると、1988年春から初夏にかけて、ロシアの田園生活(閑静でのどかな村だったようだ)のなかで書き上げられたことを念頭に置く必要がある。
また、この曲の標題的構想をチャイコフスキーは次のように述べているようだ。
第1楽章の序奏部には「運命、または神の摂理の探求しがたい設計といったものにたいする完全な服従」をえがこうとした。
Allegroの二つの主題には、1)「疑い、訴え、非難」と 2)「信仰の抱擁のなかに身をなかに身を投げ出さないのか!!」という衝動をえがこうとした。
第2楽章の草稿では、からかうような「光明の光線」と「いや、希望はない」という威嚇的な運命のコントラストが考えられていた。
このようなことを考えると、この交響曲の重要な特徴が「運命の主題」におかれていることがはっきりする。
事実、この運命の動機は、4つの楽章にわたってライトモチーフの役割を演じているのである。
さて僕の唯一のCDは
指揮:ムラヴィンスキー
演奏:レニングラード・フィル
定評のある名演奏で、いろんな本、雑誌、ブログで取り上げられているので、僕がこれ以上なにを語るのかという感じです。
あえてひねくれて、一つだけケチをつけさせて下さい。
トランペットの音、どうにかならないだろうか。あのペチャンコの音だけは好きになれない。
もし、中学や高校で吹奏楽部の顧問をしていて、トランペットを吹いている子に「理想の音」という内容でCD1枚にまとめて編集することになったとする。最後に「こういう音にならないようにしましょう」と注釈をつけて、レニングラード・フィルのトランペットの音を入れるだろう。
一方、2楽章のホルンのソロでの甘い音色と歌わせ方は好き。
3楽章はワルツになっています。スケルツォが一般的だけど、当時ワルツは大衆性を持っていたこととチャイコフスキー自身も好きだったようです。
僕は「くるみわり人形」などのバレエ音楽のことを考えると、なんの違和感もなく、むしろその方がしっくりきます。
最後に、スコアを見ていて感じるのは、強弱に関する指示が多いこと。ものすごく細かいです。
演奏側にとって、助かる面と音量の微妙なさじ加減を要求されて逆に難しくなる面もあると思いました。
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