「西郷と大久保」を読み終えた。
傑作だ。ずしりと重い。
幕末に優秀な人物が相当数でたが、多くは途中で斃れてしまった。
維新政府で残った一流の人物といえば、西郷と大久保それに岩倉ぐらいか・・・、木戸もいるが幕末ほどの精彩がない。
伊藤博文や大隈重信は二流以下だ。一流が少ないのは維新政府の不幸というべきか・・・
本書は征韓論で西郷と大久保が袂を分かったあたりで終わっている。 深い友情で結ばれていた二人である。二人が協力して明治国家を作り上げていたらと、ないものねだりしたくなる。
征韓論において海音寺は「国を思う熱情が二人を相争わせたのだ。その間には私情は少しもない」(P538)
この言葉は重い。
卑近な例では、組織として何かを計画し実現しようとした時、スタンスの違いややり方・方法で対立することが往々にしてある。実現にむけた思いが強ければ強いほど、対立し溝も深くなる。
悲しいことだが現実にあることだ。
西郷と大久保の対立はこれを壮大にしたものかなと思っている。
さて、本書は500ページを超えているが、ほとんどが幕末にさかれ、明治維新以後は60数ページしかない。もっと読みたかったのにという不満が残る。これを解消するには海音寺の「西郷隆盛」全5冊を読むしかないのかもしれない。それとも途中で止まってしまった司馬の「翔ぶが如く」でもいいかもしれない。
本棚に眠っている本が少しばかり「読んでくれ」と呼び掛けている・・・?
2 件のコメント:
おじゃまいたします。
海音寺先生の小説いいです。
大久保と西郷、竜馬、新撰組、白虎隊等々。幕末は人物が個性的でおもしろいですね。多くの作家が素晴らしい作品をたくさん残しています。
ただ話が断片だけで歴史つながらない部分があるのも幕末。もし幕末を通史で読むなら「幕末史/半藤 一利 」がおススメ。客観的な視点からペリー来航から西南戦争までの歴史が記しております。一般的に薩長史感が多い中貴重な一冊であると思います。西郷と大久保のその後も詳しく語られています。
やったくんさん、こんにちは。
恥ずかしながら、今まで海音寺作品をまともに読んだことがなく、ここへきて2作続けて読みました。
いいですね!
これからはちょくちょく読んでみたいと思います。
幕末ものは好きなんですが、通史は読んだことがありません。
半藤一利の「幕末史」は読んだことがありません。「昭和史」は買ったまま本棚に眠っています(苦笑)
客観的な視点から書かれた「幕末史」、読んでみようと思います。
コメントありがとうございました。
コメントを投稿