ラベルの「ボレロ」
今のところ、これほど不思議な曲はないと思っている。
1. 最初から最後まで同じリズムが続く
2. 音量に起伏がない
3. メロディは2つだけ
4. 伴奏に変化がない
1について、小太鼓奏者にとっては、14~15分たたき続けるのは大変だと、勝手に想像しています。
2について、fになったりpになったりという音量の変化がない。ppから始まり少しずつ、本当に少しずつ音量を上げていき、最後にffになる。1曲全体がクレッシェンドでできている。
3について、2つのメロディが規則正しくA→A→B→B→A→A→B→B・・・と繰り返されるだけ。
4について、低音パートはほとんど同じリズムと音型をひたすら繰り返すだけ。「管楽器および弦楽器の低音パートの皆様、延々と御苦労さまです。でもあなた方の支えのおかげてこの曲が成り立っています。」と言いたくなる。
これだけ書けば、単調な曲ですぐ飽きてしまいそうになると思う。
それが違うんだな。(これは皆さんがご存知のことです)
何度聞いても飽きがこないし、曲としての魅力もあせることがない。
なぜだろう?考えれば考えるほど不思議な曲だと思う。
先日読んだ本の中に一つの解答がありました。
みつとみ俊郎『オーケストラの秘密』P135より
「ボレロは、本当に人を興奮させる要素をたくさん持っている。テンポもだいたい90前後で人間の脈拍のテンポをほぼ同じ(だから人はこのテンポにハマってしまう)。
そして単純なメロディのくり返し(人間は単純なリズムのくり返してハイな状態になりやすいことは、ロックやダンス音楽を聴けばよくわかる)でどんどん音量を増していくアレンジはオーケストラならではの楽しさと魅力がたくさん詰まっている。」
脈拍に近いテンポと単純なリズムのくり返し、なるほどそうかと思いました。でも謎は全部解けたわけではありません。まだまだ謎に満ちています。まあ、思い出した時にぼちぼち考えていきます。
TAさんから貸していただいたCDで、マゼール/フランス国立管弦楽団を聞いています。
この演奏は初めて聞きますが、管楽器のソロを出色です。ただ上手いだけではありません。味があるというか、えも言われぬ雰囲気があります。
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4 件のコメント:
こんばんは。Shushiと申します。
ボレロは、単一なリズムとコードの単純なループですので、ジャズ的だなあと思います。現にボレロをイメージしたオリジナル曲をサックスで演奏したことがありますが、ジャズっぽくやってもうまくはまった記憶があります。
shushiさん、こんにちは。
ジャズは好きです。たまに聞く程度ですが。
それぐらいなので知識としてはゼロに近いものがあります。
だから『単一なリズムとコードの単純なループ』がジャズ的という指摘は、僕にとっては新鮮な驚きです。
『ボレロをイメージしたオリジナル曲』の曲名がわかれば教えて下さい。興味津々です。
コメント感謝です。今後ともよろしくお願いします。
単一なリズムとコードの単純なループがジャズ的である、というのは、ジャズの中でもモードと呼ばれる分野です。AABAの構成で、AとBで転調したりしてダイナミズムが出てくる感じです。マイルス・デイビスがはじめた演奏法で、So Whatとか、Milestonesなんていう曲が有名です。
「オリジナル曲」は10年ほど前にバンドの先輩が作った曲で、当時演奏したきりですので、音源なども残っておらず、という感じです。
shushiさん、こんにちは。
ジャズ・ミュージシャンはほとんど知りませんが、マイルス・デイビスは好きで数枚CDを持っています。
その中にSo Whatがありました。引っ張り出してきて聞きました。よく聞いた曲です。マイルスもいいけどコルトレーンもいいですね!
「モード」という言葉は、これまでは素通りしていたものですが、ちゃんと意識していかないといけないなと思いました。
Milestonesは、たぶん聞いたことがあると思います。
「オリジナル曲」は聴けないのが残念です。
コメントありがとうございました。
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