一日あいてしまいましたが、マーラー/交響曲第5番 嬰ハ短調 の続きです。
作曲は1902年、マーラー42歳のときです。
今日は4楽章のアダージェットのことだけ書きます。他の楽章は次回いつになるかわかりませんが、その時に書きます。
ヘ長調4分の4拍子。
楽器編成は弦楽器とハープで、管楽器と打楽器はなし。
「美しい」と言えば、かえって味気なくなるこの音楽には、弦とハープ以外に付け加えるものはないと思う。管楽器をいれたら魅力をそこなう気がするし、打楽器はもう問題外だ。
だけどハープは絶対不可欠だ。ハープなしには、この楽章は考えられない。
ハープの楽譜を見ると、分散和音でほとんどが8分音符で書かれている。8分音符3つの3連符もある。もし、僕がハープを習い始めたら数か月でできると甘く考えてしまうほど、見た目は簡単だ。
しかし、シンプルだが深い音を奏でるハープがなかったら ・ ・ ・
弦楽合奏のみで演奏した時、美しさと深さが表現できるだろうかと思う。
曲はヴィオラとチェロのハーモニーにハープの響き、ついでヴァイオリンが主題となるメロディを奏でて始まる。主となる旋律は、第2ヴァイオリン・ヴィオラ・チェロを自在に移り変わりつつ、曲は流れていく。
全体は3つの部分からなっていて、便宜的にABA’とすると、中間部のBには、ハープは用いられていない。ヴァイオリンが高音域で切々とメロディを歌うのである。
AとA’でヴァイオリンは低音域から中音域を使い、Bでは高音域が使われている。
曲想の変化、ヴァイオリンの音域の違い、ハープ使用の有無など、絶妙の組み合わせだと思う。
BからA’の移り変わり、ヴァイオリンがメロディを歌い終わり、弦のハーモニーのなかハープが奏でるところは、たまらなく好き。ほっとした気分になると同時にえもいわれぬ気持ちになるのだ。
曲の最後も言うことなし。低弦の動きと和音の進行、作曲理論も和声法もなにも知らないが、すごいと思う。
ここ数日聴いているのは、カラヤン/ベルリン・フィルの演奏。いくつかのブログで紹介されているのを読み、このCDを購入することに決めました。
一番印象的なのは、中間部のヴァイオリンの響き。ホール全体に広がって、どこか遠くから聞こえてくるようであり、同時にホール全体を包んでいるような感じを受けました。
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2 件のコメント:
正直、よんちゃんさんからのCDを聴くまでは、マーラーはあまり聴いたことがありませんでした。
いわゆる、食わず嫌いというか・・・
昔聞いた印象が、重すぎたというか・・・
でも、CDを再生して
流れてきた音は
大きい・・・
いや、音量がどうとかじゃなくて、
なんというか、スケールが大きい、深い、
この弦とハープの波の中で揺られてる感じ、
そして時々、いきなり足元がなくなったように、はっとするようなピアノ。
すごい。
思わず、近所迷惑もなにも考えずに音量を上げてしまいました。
美しい音に包まれる感動を、改めて感じました。
がちゃぴんさん、こんにちは。
世の中には素晴らしい音楽がいっぱいあるけども、それにどれだけ出会えるかだと思います。僕も「ベニスの愛」を見ていなかったら、この曲は知らずに一生を終えていたかもしれません。
そういう点で、かちゃぴんさんにアダージェットを紹介できたのは、ものすごいことをしているんだなと思えてきます。
どうぞこのアダージェットに深く深くはまって下さい。
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