2010年1月4日月曜日

野田 恵

野田恵こと“のだめ”の演奏は、日本人演奏家へのアンチテーゼだ。

これは僕の思いつきです。

こんなことを思ったのは、昨年末の新聞に中村紘子デビュー50周年記念対談(相手は養老孟)で中村さんが、

「国際コンクールでも日本人は全員共通してミネラルウォーターみたい。浄化された水。きれいでさらさら。過不足なく技術は高いけど、こころを打つものがない。」

と語っているのを読んだからです。

こうした若手音楽家の没個性的な演奏と対極を行くのが、個性的な「のだめ」の演奏という図式が僕の頭の中にポッと浮かんできたのです。
(勿論のだめの演奏を聞いた人は誰もいません。しかし、このマンガを読んでいる人は日本人離れした個性的な演奏というイメージを持っているのではないでしょうか)

正確な技術で楽譜に書いてあることを音にすればいいという考え方に対するアンチテーゼ。これをのだめが示している。
そんな解釈を「のだめカンタービレ」から引き出すのは可能ではないかと思いました。

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4 件のコメント:

Sunflower さんのコメント...

よんちゃんさん、あけましておめでとうございます。昨年は大変お世話になりました。

 魅力というのは、音楽も人も物も同じだと思うのです。その音楽やその人、その物がどんな生まれ方をして、どんな生き方をしてきたかが見えたとき、興味が湧くし、それを知ったときには受け取り手側の感受性で、魅力に感じたり、心を打ったり、批判的に感じたりするのだと思います。

 僕がプロの演奏より、コンクール音楽に魅かれるのは、その曲に想いを込めた奏者の生き方が垣間見えるからだと思います。

 僕の場合はきっと、のだめも同じです。のだめとその仲間たちの生き方とか才能とかに興味があるのだと思います。だから音のないマンガでも音楽が聞こえるような気がします。でも心惹かれているのはきっと、そういう音楽との出会いや関わりをしている生き方です。音楽を通して、感じているのだと思います。

 音楽は表現ですから、何を表現するかって難しいですよね。いい音楽(演奏)にはその何かが隠れていると思います。そしてたくさんの音楽を聞かれるよんちゃんさんにも、きっと何か感受性を刺激する何かがあるのではないでしょうか。

 表現するために技術を磨くのでしょうね。競争するために高めるのではないです。日本人の生き方が、技術に固執してしまう味のないものにしているように感じます。
 表現が豊かになりたいですね。そのためにも、もっともっと技術を磨きたいです。

 昨年をふり返り、今年を思い描いていたら長くなってしまいました。
 どうぞ今年もよろしくお願いします。

よんちゃん さんのコメント...

Sunflowerさん。
明けましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いします。


コメントをいただきありがとうございます。
その内容の深さに匹敵するだけのものが書けません(涙)。
なので、本文に引用した中村さんの言葉の次の箇所で少しばかりの代用をします。


養老孟「指導者も完璧に演奏したら絶対いいものになると頭から思っているのでは。
飲み屋で歌を聴いていると、調子がはずれていても泣く。歌の心があるなら。」

中村「基本的には人類を幸せにしなきゃいけないんです。人間、どんな分野でも。」


音楽がその人の人生を反映するのなら、飲み屋の歌はまさにそのものかもしれませんね。

聞く方は聞こえてくる音楽を気楽に批判できますが、これを自分に当てはめ、吹奏楽の演奏ということで考えると、僕の指揮によって出てくる音は軽い、いかにも軽い自分をさらけ出している。
改めてそのことを自覚させられ、指揮すること自体恐くなります。

その恐怖に耐えながら・・・幸か不幸か鈍感なところがあるので今のところ助かっていますが・・・
考え出すとデフレスパイラルのようになるので、ここで止めます。


少しでもいい演奏ができるように「深くそして高く」を心がけていきたいと思います。

rudolf2006 さんのコメント...

よんちゃんさま こんばんは
今年も宜しくお願いいたします〜

「のだめちゃん」の演奏、聴いてみたいですね〜。コンクルで優勝や上位入賞した方々がマスコミで良く取りあげられますが、それだけで「音楽家」になれるとは限らないと思います。
自分の音楽があり、それを聴衆に訴えかける力がないと、「音楽家」にはなれないのではないでしょうか?

そういう意味でも「のだめちゃん」は貴重だと思います。(コミックの後半は、ちょっとどうかなと思いましたが、前半は面白いですよね〜。)

音楽をする上では、アマもプロもないと、私の師匠は仰っていました、私も同感ですし、そうありたいと思っています。

ミ(`w´彡)

よんちゃん さんのコメント...

rudolf2006さん、こんにちは。

今年もよろしくお願いします。

「のだめ」の演奏は誰も聞いたことがなく、マンガを読む人がそれぞれに想像を働かして、脳内で聞いている(?)と思います。

それはそれぞれの理想の音楽かもしれません。

ところで『「音楽家」になる』や『自分の音楽があり、それを聴衆に訴えかける力』というのは重い言葉ですね。

肝に銘じたいと思います。
そして一年少しでもいい演奏ができるようになりたいと思います。