2008年1月18日金曜日

彫るように読む(2)

「峠」(司馬遼太郎著)を読み直している。飛ばし読みしながらの再読である。

読書法に少しばかり関心があって、薄っぺらな知識を持っている。
「素読」「音読」「速読」「精読」といったものからから、線を引いたり、書き込みをしたり、気に入った言葉を書き写したりと。
読書と言えるかどうかわからないが、本文やあらすじを朗読したものを聞いたりするのもある。おまけに2倍速や3倍速それ以上で聞くのもある。
(これらを知っていても実践しているかどうかは別である)

そんなこんなで読書法に関心があるから、「彫るように読む」という表現にはビビビっときてしまった。
性懲りもなく続編を書きますが、関連箇所を本文より引用しつつ進めます。

主人公は河井継之助。越後長岡藩の藩士。(1827~1868)
時代は幕末、ペリー来航以後の混乱期から大政奉還、戊辰戦争そして北越戦争で没するまでが小説の舞台である。

河井は陽明学の徒。
江戸の古賀塾で再び学んだのは、そこに「王陽明全集」があるから。江戸で「王陽明全集」を所有しているのは古賀塾だけで、それを読むためにこの塾にきている。

「その読み方も、かわっている。単に読むのではなく、例の彫るような難筆(こんなことばはないが)でもって、書写しているのである。」(上P53)

その書写の仕方が「一劃々々、気根をこめ、一字をまるであぶら汗を垂らすようにして書いてゆく」(P47)
他の塾生にいわせると「文字を彫る」ということになる。

継之助は
「おれは、知識という石ころを心中の炎でもって熔かしているのだ」(上P54)と語っている。
ここで司馬さんが解説を加える
「熔かすは継之助のすきな陽明主義にあっては、知識を精神のなかにとかしきって行動のエネルギーに転化するということであろう」(上P54)


凄い読み方だと思う。

視点をずらして、「スコアとにらめっこ」もこれに似たものがあるような気がする。
音符の並びから音楽を読み取っていくのである。
これについてはこれから考えていこうと思う。

6 件のコメント:

ぱぐ さんのコメント...

『峠』を読んだのはだいぶ前のことなのであまり覚えていませんが、河井継之助というのは思想を具体化しなくてはいけない、と考えるようなたちのひとじゃなかったでしょうか。

生きる指針みたいなものがほしかった時には、わたしも日記に気に入った言葉を抜き書きすることがよくありました。司馬遼太郎で言うと『菜の花の沖』だったり『胡蝶の夢』かな。あとはアガサ・クリスティーのミステリ以外の小説とか。

抜き書きしたことってけっこう覚えているんですよね。『峠』はしなかったからあまり覚えていないのかもしれない。
あと、司馬遼太郎には短編でも河井継之助を扱ったものがあったと思います。題名が今思い出せませんが。

よんちゃん さんのコメント...

ぱぐさん、こんにちは。
陽明学は「知行合一」ですね。「峠」を読んでこの言葉を思い出しましたが、それ以上の知識を持っていません。
河井継之助は一つの具体例だと思っています。

司馬作品は、以前はただ読むのがおもしろくて読んでいたという感じでした。
数年前から心に響いた言葉に線を引いたり、書きとめたりしています。

短編の名前を思い出したら教えて下さい。

いつもスパイスのきいたコメントをいただき、ありがとうございます。
今後ともよろしくお願いします。

ぱぐ さんのコメント...

よんちゃんさん、こんにちは。

短編の名前がわかりました。『馬上少年過ぐ』(新潮文庫)の「英雄児」ですね。河井継之助の生涯が簡潔にスケッチされている感じです。

どういうわけかこの本は手元にはないので、引っ越しの時に古本屋に売っちゃったのかなあ。

ちなみに標題作は伊達政宗の漢詩から取ったもので、なかなかいいですよ。出てくる漢詩の「天の赦すところ」から、宇和島藩の藩主が作った「天赦園」という庭園の名前が付いています。行ったことがあるのですがいいところでした。
宇和島藩は政宗の庶子で秀吉の猶子(?)か何かになった秀宗がご先祖です。

よんちゃん さんのコメント...

ぱぐさん、ありがとうございます。

『馬上少年過ぐ』は、いずれ読もうかなと思っていましたが、今や「次に読みたい本」のトップ3に躍り出ました(笑)

愛媛県は松山しか行ったことがありません。宇和島を訪れる機会があるといいのですか。

ぱぐ さんのコメント...

よんちゃんさん、おはようございます。

天赦園は宇和島にあります。いいところですからぜひ。

『街道をゆく』の14巻が「南伊予・西土佐の道」で正岡子規(『坂の上の雲』『ひとびとの跫音』)、シーボルトの娘イネ(『花神』の大村益次郎からオランダ語を教わる)、宇和島藩の幕末の藩主伊達宗城(『酔って候』の「伊達の黒船」)など、小説に出てくるところと紀行が重なっておもしろいですよ。
司馬さんが好きだった町の一つじゃないでしょうか。

よんちゃん さんのコメント...

ぱぐさん、こんにちは。
返事が遅くなりました。

書店を数軒回って、『馬上少年過ぐ』『街道をゆく14』『酔って候』を探してきましたがありませんでした。
田舎の小さい書店では品ぞろえが悪い(悲)。いずれ買ってきて読むつもりです。

もし宇和島に行くのなら、その町並みと天赦園、そして宇和島城です。築城の名人藤堂高虎が築いてものですから。それらをセットで回りたいですね。