2008年1月31日木曜日

エグモント(2)

エグモントといえば、ゲーテの戯曲に音楽をつけたベートーヴェンのものが有名。しかし今は序曲ぐらいしか耳にしないのではないか。

このエグモントを題材にした吹奏楽曲がある。
僕の大好きな作曲家ベルト・アッぺルモント(1973~ )が作曲した交響詩「エグモント」だ。

エグモントは実在の人物で、「エグモント伯ラモラル」(1522~1568)の通称。
時代背景の概略をいうと、
1500年代スペインが支配していたネーデルランド(オランダ)が舞台。
エグモントはスペインのカール五世とそのあとを継いだ息子のフェリッペ二世に仕えていた。
当時オランダはプロテスタントが勢いを増し、カトリックのスペインと宗教上の対立があり、その他の理由もあるかと思うが、オランダの市民階級に不満があって、やがて反乱運動に発展していく。
エグモントはスペインに仕えていたが、やがて反乱運動に参加する。
1567年はスペインは反乱運動を一気に鎮圧しようとする。「血の法廷」といわれる粛清が行われ、数千人の反乱者が処刑される。このときエグモントも処刑されている。
これがきっかけとなって「80年戦争」といわれる独立戦争が起こる。

さて、交響詩「エグモント」
4分構成になっている
 1部 : 結婚 
 2部 : フェリッペ二世とエグモント(対立)
 3部 : 処刑 
 4部 : スペインに立ち向かう(独立戦争) 

ここからは、僕の主観で書きます。
【1部】
16世紀の頃の結婚式の雰囲気を表しているのだろう。華やかさと喜ばしさを表している。映画のサントラとしても使えそうだ。
突然スペイン風のリズムと旋律が登場する。この曲を初めて聞いた時は、急にスペイン風に切り替わったのに驚いた。あとで時代背景を調べて納得する。

【2部】
1部から切れ目なく2部に入る。
スペイン風のリズムにのって、ソプラノ・サックス→トランペット→ユーフォニウムとソロが続く。スペイン王を表していると思われる。
次にホルンが陰鬱で苦悩に満ちた旋律を奏する。エグモントを表しているのだろう。
そしてこの2つのメロディが対位法的にからむ。まさに対立を表している。
最後のギターのソロが印象的。

【3部】
重い足取りで、鉛のような音色(不協和音をうまく使っている)のうえを、不気味で暗い旋律が流れる。刑場へひかれていく人の様子だろう。
終わりの方で、2部に出てきたエグモント(と思う)のメロディが現れる。そしてエグモントの処刑執行。

【4部】
前半は戦いの様子が描かれる。迫力満点だ。
後半は独立軍の勝利だ。高らかなファンファーレと勝利の歌がうたわれ、曲を閉じる。

ベートーヴェンの劇付き音楽(10曲)のうちの序曲しか聞いたことがないが、曲の雰囲気が全く違う。
同じ題材でも作曲者が違えば、全く違う音楽になるいい例だと思う。

アッぺルモントは天才的メロディメーカーだ。 一つ一つのメロディが素晴らしい!
そのメロディがそれぞれの場面や状況を見事に表している。
描写力のうまさは、R.シュトラウスに匹敵すると勝手に思っている。
おすすめの1曲です。

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